おれも柏鵬時代は知らないんで柏戸は大鵬に強いという以外、
取り柄のない横綱のうように思っていた。
でも実際の成績を見ると横綱としては在位47場所で勝率73.5%、
準優勝15回、41・42年は連続年間最多勝(大鵬の休場のお陰だが)。
実は戦後の横綱としは悪い成績じゃない。
佐田の山は横綱勝率74.6%で柏戸よりいいが、在位18場所と短く、
連覇した直後にスパッと引退しての数字。この割を食ってしまったのが柏戸で、
この時期は、柏戸の方が衰えが顕著で先に引退する、と思われていたそうだが、
(本人も引退を意識し始めていたらしい)
ここで自分も辞めると横綱が大鵬一人になってしまうので、
病身に鞭打ちながらなんとか現役を続けざるを得なくなった。
ラスト2年は12場所中6場所がクンロクという体たらくになり、結果、
横綱勝率で佐田の山を下回る結果になったが、佐田の山引退時点だと、
37場所で76.7%の勝率を残していて上回ってたんだな。
安定感では佐田の山>柏戸というイメージがあったんで少し意外だったが。
ちなみに同じく在位47場所の輪島が76.6%、48場所の曙78.5%、
二代目若乃花は28場所で75.1%、北の富士が27場所で74.6%、
北勝海が30場所で76.7%と比べても、そうそう悪いわけじゃない。
優勝回数で見ると平凡だが在位場所数、勝率でみるとなかなかの成績、
というアンバランスな実績は、強いと言われた割に取りこぼしが多く
優勝が少なかった柏戸らしいのかもしれない。
ちなみに佐田の山は周知の通り大鵬に5勝27敗と歯が立たなかった。
優勝した6場所に限っても優勝決定戦で1度勝った以外、本割では
2敗1不戦勝。実際に対戦したのは2場所だけでいずれも負け。
内、一度は決定戦で勝ち、もう一度は負けても星一つリードしていたので逃げ切り。
初優勝の時は番付差があり対戦なし。(大鵬関脇、佐田の山13枚目)
残り3回は大鵬休場で対戦なし。(内、不戦勝1度)
つまり、佐田の山は大鵬が休場か、不調の隙をつくような形でしか
優勝できなかったんで、ライバルとしては、余り期待されなかったようなんだね。
ただ唯一年間最多勝を獲得した40年は皆勤した大鵬を抑えてのものだから、
これは価値があると思う。