青木喬 陸軍少将の述懐

「(4)零戦問題
 (略)昭和16年1月恒例により明野において陸軍最新の1式戦、2式戦と戦技競技を交えた結果、
 馬力荷重、翼面荷重等において陸軍側が有利であったにもかかわらず、戦闘性能、操縦性能共に
 零戦がまさったことは参加ベテラン戦士の等しく認めたところで、特に20mm砲装備の攻撃力及び
 偉大な航続力では断然世界レベルを大きく突破する空前の至宝兵器であることが立証された。
 (略)もし仮に昭和14,15年頃から陸軍も零戦に統一する勇断があったなら、量産錬成・共同戦果はもちろん、
 はるかなる南方広域に補給の途上少なからず喪失を見たような痛恨事は皆無に近かったと考える。
 零戦統一に関する具申は懸命且つ執拗に努力したが、越権なりとして容れられず、甚だしきは海軍かぶれと
 ののしられ恨みの涙を呑んだことは忘れられない。(略)」