教養書だとこれがお勧め。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000186725

前半は宇宙科学の教養書に倣い、宇宙観測や発見の科学史を辿るけど、
真ん中あたりからお話の焦点はマルチバースになってくる。

・現在観測できない領域にある他の宇宙として同じ物理法則の宇宙があるとする説。
・無限インフレーション空間の中でインフレーションが停止し空間が成立したところを宇宙とする泡宇宙仮説。
 これらは宇宙成立の初期条件が異なるから物理的な法則も違う可能性がある。
・量子力学の様々な現象の延長で見いだされる別世界。
・無限に存在する別宇宙があり、そのバリエーションは数学的な表現のうち物理的に検討な組み合わせで
 あれば、全てあるとする。

最終章に近くなると著者の持説の中でも、数学的な表現の可能な物理構造のバリエーションというお話に
なってくるけど、そこまでは本当に丁寧に科学史の中で提唱されてきた、他の学者の多宇宙仮説について、
すごく丁寧に説明している。

ちょっと偏ったところがあるのは、最後の方のみで、物理と数学の関係、それから人が見出した数学にどんな
意味があって、数学で表現される様々な物理現象と現実に観測される物理現象の関連、いままで数学だけで
見出されたきた現象や、ファラデーのように現象を直ざやに再現し、直観で作られた科学体系が後に厳密な
数学に置き換えらえる事例などについて、独自の考え方を説明している。

独自とはいっても、いままで、世間ではあまりに抽象的に語られてきた数学と物理の関係を厳密に考える内容
で、それ自体も面白い。その上で、観測事実の延長、仮説の上での計算、様々な側面から現在提唱されている
多宇宙の様々な側面について語っているのでとても面白いよ。