だが実際には、資源は枯渇しなかった。
ローマ・クラブは石油資源が20年で枯渇すると警告したが、40年以上を経ても石油は枯渇していない。

食糧も不足していない。『成長の限界』発表当時、世界の人口は40億に満たなかった。
2015年現在、人口は72億を上回るが、世界にはすべての人に行き渡るだけの食糧がある。
(しかし世界の9人に1人は十分な食糧を得ておらず、日本の家庭では全世界の食糧援助量に匹敵する量の食品を捨てている)

まだ成長の限界にぶち当たっていない理由はなんだろうか。
一時的に問題を解決したのは「技術の進歩」であった。
農業の生産技術は格段に進歩したので、単位あたり収量が大幅に増加し、人口増加を優にまかなうことができた。

石油が不足し、価格が上昇すると、省エネルギー型の技術革新が続出し、エネルギー効率は大幅に上昇した。
一方、石油の掘削技術も進歩し、オイルシェールなども採算に乗るようになってきた。

映画トゥモローランド(2015)のクライマックスは、そういった「未来を憂慮して警鐘を鳴らす作品」に警鐘を鳴らすことだ。
まことに考えさせられる展開だ。