「ムーアの法則は終わった」:NVIDIAのCEOがCES 2019でも明言
https://japan.cnet.com/article/35131137/
「ムーアの法則」よ、安らかに眠れ。お疲れ様。

 少なくとも、NVIDIAの最高経営責任者(CEO)、Jensen Huang氏はそう考えている。グラフィックスチップメーカーのNVIDIAを共同創設した同氏は米国時間1月9日、「ムーアの法則はもはや成り立たない」と断言した。

Huang氏はCES 2019で、少数の記者やアナリストが参加したパネルディスカッションの質疑応答で、「ムーアの法則はかつて、5年ごとに10倍、10年ごとに100倍だったが、いまでは毎年数%だ。10年単位でおそらくせいぜい2倍だろう。ムーアの法則は終わったのだ」と語った。

苦闘する半導体業界

半導体業界のリーダー的地位を長年保ってきたIntelは、サムスンなどの競合が7nmプロセスのプロセッサを出荷する中、10nmプロセスへの移行を何度も延期した。
だが、Huang氏などはムーアの法則が終わったと主張しているが、材料科学者は、代替手段を追求することで半導体技術を進化させる方法を発見し続けている(代替手段としては、例えば極薄炭素シート「グラフェン」などがある)。

Moor Insights & Strategyのアナリスト、Patrick Moorhead氏は「2年ごとにチップの密度を倍増させるという厳密な定義のムーアの法則はもう成り立たない。チップの小型化をやめれば、テクノロジ産業全体に壊滅的な影響を与えるだろう」と語った。

 一方、台湾のモバイルチップメーカーであるMediaTekの最高財務責任者(CFO)であるDavid Ku氏は、ムーアの法則が死んだとは言わないが、ペースが落ちていることは認めると語った。

Ku氏はCESでのインタビューで次のように語った。「低電力消費のメリットは大きい。だが、おそらくこれまで実現してきたようにはコスト削減できないだろう」。
今後の製造プロセスではEUVリソグラフィ用の機器のような、より複雑な装置が必要になるため、チップの製造コストが上がる可能性があると指摘した。

 「(ムーアの法則は)スローダウンするが、終わるわけではない」(Ku氏)