一方で,グルカゴン研究の権威であるテキサス大学 の Unger らは既に 40 年以上前の報告で,胸管漏を作 成した犬に高脂質食(ピーナッツオイル)を腸管内に 直接負荷して
,4 時間以上持続する高血糖とこれに伴 う血中グルカゴンと GLP-1(GLI)の著明な上昇を確認 している5).
この研究では血中インスリンの変化はほと んどなく,胸管漏のためカイロミクロンや中性脂肪の 上昇は極めて軽度に留まる事が示されている.
4.今後のエビデンス構築に向けて
CGM が日常臨床でも簡単に実施可能になり,上述 のように,特に 1 型糖尿病患者においては,高蛋白・ 高脂質食にて食後 3―6 時間での高血糖が惹起されると いう報告が増加しつつある
.一方で,この事実は既に 当然のこととして,敢えて議論する必要もないとの意 見もある.
糖質制限食の効用(血糖改善や体重減少な どの正の効果)についての議論がなされ,臨床現場で 実践もされているが,糖質制限食に伴う高蛋白・高脂 質食が正常耐糖能者,
IGT 患者並びに 2 型糖尿病患者 の食後高血糖をもたらすか否か,さらには長期的な高 蛋白・高脂質食摂取が更なる耐糖能の悪化を惹起して 血管合併症増加(負の効果)をもたらすか否か等につ いて,
欧米人のみならず日本人を対象とした研究が進 み,活発な議論とエビデンスの構築を図ることが早急 に求められている.