>>49
研究の内容
Shimazuさんらは、初めに骨芽細胞が主なエネルギー源としてグルコース(糖の一種)を細胞内に取り込んでいることを突き止めた。
さらに詳しく研究を進めると、グルコースを取り込むために必要な遺伝子の発現のタイミングから、グルコースは骨芽細胞の分化(骨芽細胞が作り出されること)において必要であることが判明した。
グルコースを骨芽細胞に取り込めないように遺伝子操作したマウスでは
、骨が通常より形成されず、さらに全身の糖代謝を制御するオステオカルシンの血中濃度が低下していた。よって骨芽細胞において、グルコースは骨形成だけでなく全身の糖代謝にも必要なエネルギー源であることがわかった。
骨芽細胞の分化が十分でない胎児を妊娠したマウスにグルコースを投与する(高血糖にする)と、鎖骨と頭蓋骨の異常が改善された。よって血液中のグルコース濃度を上昇させることで骨形成が促進されることがわかった。
骨芽細胞にグルコースを取り込むために必要な遺伝子と、
骨芽細胞の分化に必要な(転写)因子は互いに相互作用しそのバランスを取っている(正確にはフィードフォワード制御)ことが実験により判明した。
2、3、5により、骨と糖代謝が深く相互作用していること(骨と糖代謝のクロストーク)が示された。