http://www.myschedule.jp/jsgs-toyama67/detail.php?sess_id=2964


モノカルボン酸輸送担体(monocarboxylate transporter,MCT)は,乳酸の細胞膜通過に必要な蛋白であり,1994年にはじめてクローニングされ報告された.MCT familyの中でもMCT1,4は解糖,糖新生,酸化,脂質形成の際に乳酸が細胞膜を通過するのに関わり,
高い解糖能を有する癌細胞でその発現が増加することが示されている
.また,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor, VEGF)は,
癌の増殖転移などに大きな影響を与えているといわれ,大腸癌でもこれまで肝転移や微小血管密度などとの関連が報告されている
.【目的】大腸癌におけるMCT4,VEGFの関連性を検討した.【
対象と方法】2002年〜2004年に教室で施行された初発大腸癌,根治術症例210例を対象としsanta cruz社MCT4抗体,
VEGF(A-20)抗体を用いて免疫染色を行い,発現と臨床病理学的因子との関連,及びそれぞれの発現の関連をみた
.【患者背景】年齢中央値は67歳,男女比131:79,腫瘍部位は結腸:直腸133:77,腫瘍最大径中央値は45mm,
進行度はStage0:13,StageI:42,StagII:83,StageIIIa:49,StageIIIb:23であった.再発は21例(10%)に認めた.【結果】MCT4陽性例は103例(49%),VEGF陽性例は129例(61%)であった
.臨床病理学的因子でMCT4の発現と関係した因子は腫瘍最大径(≧45mm)であり,VEGFの発現では深達度の浅い(m,sm)癌が発現に影響していた.また,MCT4陽性群ではVEGFが有意に発現していた
.【まとめ】癌の早期の段階でVEGFが発現し,それがMCT4と関わっていくことで腫瘍が増殖していくことが考えられた.