ここで登場する「病勢コントロール=DR」とは、簡潔に説明すると、
画像上、元のがん病巣がベースラインと比較して消失した場合(完全奏功=CR)、がん病巣が30%以上縮小した場合(部分寛解=PR)、
そしてがん病巣が進行でもPRでもない場合(安定=SD)のすべてを含めた評価スケール(DR=CR+PR+SD)のことです。
ということは、「病勢コントロール率 83%」は、ケトン食を用いなくても標準治療のみで十分に得られる成績です。
情報に疎い一般読者に多くを語らず、数字だけで素晴らしい話であるかのように錯覚させるバイアスが隠されていることに注意が必要です。

冒頭に戻ります。古川氏の研究では、標準治療も一緒に行われていたのに、一体なぜケトン食の効果だと言えるのでしょうか。
そして、主たるQOLについて調べられた研究であり、かつ生存成績も一切示さないで、なぜケトン食ががん患者に有効だと唱えることができるのでしょうか。
要するに「世界初の実証」と宣言するための体をまったく成していないわけです。