今あるガンが消えていく食事』シリーズ (済陽高穂/マキノ出版)

累計40万部以上のベストセラー本。著書は、先のゲルソン療法をアレンジした済陽式食事療法なるものを展開し続けています。

前者と併せて共通するのは「言ったもの勝ち」のやり方
。試験管の実験でも、動物実験でも、権威者の根拠もない言説でも、都合が良ければ何でも取りこんでしまいます
。一方で、もっとも重要なヒトを対象にした信頼できる臨床データはほとんど登場しません。例えば、
著者の「済陽式ゲルソン療法」では四足歩行動物 (牛、豚、羊) の肉食を禁じています
。理由は、実験用ラットに動物性タンパクを過剰に投与すると肝臓に前がん病変リスクが高くなるというデータがあるから、と。

確かに「がん予防」という観点では赤肉・加工肉 (ハム・ソーセージ) の過剰摂取は、大腸がん罹患リスクとして確実視されています。
とはいえ、これも程度問題。欧米諸国と比較して、日本は赤肉の平均摂取量がもっとも低い国のひとつです
。また、冷静に考えていただきたいのは、予防と治療とでは全く違う話だということもお解りでしょう。