医師の立場で書かれた「がん食事療法」ベストセラー本にある数々の問題について取り上てみます。
共通するのは、真偽が定かではない体験談を連ねるも、食事療法の有用性を証明する姿勢を一切見せないことでしょう
。これは、エセ免疫療法に携わる関係者にも言えることです。場合によっては、両者が根っこで繋がっていることも少なくありません。



@『ガンと闘う医師のゲルソン療法』 (星野仁彦/マキノ出版)

著者である星野氏は、
後述する「ゲルソン療法」の普及に長年努めている精神科医です。27年前にS状結腸がんを患って手術し、その後、肝臓に2箇所の転移(肝転移)を認めたといいます。本の記述では、当時の「5 生存率データは 0%」がことさら強調されています。
ところが自分には奇跡が起きたのだと。しかしながら、ここで冷静に捉えないといけないのは星野氏が患ったのは「大腸がん」だということです。

大腸がんの肝転移は、ステージ IV であっても治癒する可能性が十分見込める疾患です。記述をたどると、
彼の肝転移は 1cm 程度のものが 2個。それらに対してエタノールを注入する局所治療を受けており、結果はうまくいって腫瘍は 2つとも壊死したと書かれています。
この時点で、星野氏の大腸がんは治ってしまったのではと私なら考えます。