ぜんそくが持病で、「吸入ステロイド」による治療を行っていた人々のうち33人もの患者が、低血糖や意識障害、けいれんといった症状を引き起こす「副腎不全」という重篤な症状を起こしていたのだ。そしてそのうちの1人は死亡していた。

この調査は、ステロイドという薬が、恐ろしい副作用をもたらすことを示している。

日本でも'05年に、ステロイドによる死亡事故が起きている。急性骨髄性白血病で入院した当時20歳の女性が臍帯血を移植する手術を受けたが、手術後、移植された細胞のリンパ球が体を攻撃する反応が現れた。

医師が症状を抑えるためにステロイドを投与したところ、女性は筋萎縮の症状を起こし、寝たきりの状態になった。女性は手術から1年半ほどして、死亡した。

こうした事例から分かるのは、ステロイドは「非常に効果が高いが、副作用もまた強く、恐ろしい」ということだろう。実際のところ、ステロイドにはどのようなリスクがあるのだろうか。

ステロイドは、副腎皮質ホルモンを含む薬で、人間の免疫を抑制する効果を持つ。主に腎臓病やネフローゼといった病気に使われるが、広い効能と強い効力のため、ほかにも潰瘍性大腸炎、
肝炎、低血圧症など様々な目的で頻繁に利用されている。安倍晋三総理も、持病の潰瘍性大腸炎の薬としてステロイドを使い、症状を抑えていると言われている。