2 白内障
ステロイド白内障は,後囊下白内障を呈することが多い。下白内障の発症率には,ステロイドの総投与量と投与期間には統計学的な関連性がみられず,ステロイドに対する患者の感受性が関係する可能性があるとの報告もみられる。
しかし Kobayashi らや Hayasaka らの研究報告では,総投与量の多さと投与期間の長さは白内障の形成率に関係すると報告されている。一般に,プレドニゾロン 10 mg/日以上の使用や 1 年以上の長期投与になると発症率が高くなる。
白内障の治療に関して,数種類の点眼薬が存在するが,点眼薬の臨床試験にはランダム化比較試験が極めて少なく,今後エビデンスの集積が待たれる。
ステロイド長期大量投与患者では,水晶体混濁の進行に伴う視力の低下により手術が行われる。
したがって,白内障に関しては,ステロイド投与開始後早期の眼科受診をすすめる明らかな根拠はないが,定期的に眼科を受診することで白内障の合併と進行状況を早期の段階で把握し,ステロイドや免疫抑制薬の使用方法を検討することが可能である。