1 緑内障
ステロイド緑内障は,ステロイドの投与のため眼圧が上昇することにより生ずるが,放置すると視神経が障害され視力・視野障害をきたす。
高用量のステロイドを投与開始された場合,早期に眼圧が上昇することがあり,一般にはステロイド減量・中止とともに眼圧は低下する。
しかし,高眼圧症の点眼薬による治療が行われ,ステロイドが減量中止されたが,その後も眼圧上昇が遷延し線維柱帯切除術が施行された患者の報告もあり,注意が必要である。
高眼圧症は早期発見によって点眼薬などによる眼圧亢進の改善が可能であること,高眼圧症の持続を回避することで視神経障害の進行を阻止し得ることから,早期の眼科受診が望ましい。
ステロイド治療を開始して眼科的精査を行うまでの期間に関して,どれくらいが適切であるかのコンセンサスはない。
一般にステロイド治療開始後,浮腫が軽減し全身状態が安定した段階で早期に眼科を受診させることが望ましい。
ステロイド性高眼圧症の既往があるネフローゼ症候群再発患者,特にステロイドパルス療法などのステロイド大量投与が必要な患者では,早期に眼圧測定するなどの対応が必要である。
また,ステロイド使用中は眼痛や頭痛,視力低下など緑内障の症状を示す場合には,往診を依頼するなど眼科への紹介が必要である。