一つだけ、言い訳を云っておきたい。

わたしは、彼のことを嫌いでは無かった。
実は当時、中学生だった私にも夢があり、プロ野球選手になりたいと周囲に
漏らしていた彼のことを応援していた。いつかほんとうにそうなるものだと
信じていた。

彼ほどの運動神経ならば、それは夢ではないと、
部活動に励む彼の姿を見ながらよく思っていたものだった。

だが、かれとは一度も話をしたことが無かった。