無償の正義で行うつもりで俺は始めた。見返りを求めるつもりもない。
それは今も変わらない。覚悟を持ってやり遂げる。そのつもりだ。
しかし5年も立つと疲れてくる。こちらも年を取ってくる。
人間、疲れてくるとどうなるか。表情がなくなる。体が動かなくなる。いわゆる「フリーズ」といった状態だ。
その次の段階はどうなるのか。「怒り」が湧き上がる。体と心の危機を守る、防衛本能というものだろう。
もちろん俺はその「怒り」を押さえつけている。息子に対して「怒りにまかせて」と言うことはない。注意するにも、できるだけ冷静に順序立てて話している。
そして息子は腹いせに壁を蹴ったりする。
それに対する「怒り」を俺はさらに押し殺す。