クマをこよなく愛した Ben East は大きなアラスカヒグマがアフリカ・ライオンと戦ったら…と考えることがよくあるという(彼があえて African Lion と書いているのはピューマを Mountain Lion と呼んでいるため)。

 クマはゆうに1000ポンド(約450kg)を超え、一方ライオンはその半分もない。しかもクマはライオンと同じくらい早く動ける。分厚い毛皮にはライオンの爪もなかなか通らないだろうが、その下にはさらに厚い脂肪層とタフな筋肉があり、その上骨格は重々しく頑丈だ (Bears, 1977) 。

 East は前足の一撃でクマが百獣の王の頭か首を砕くであろうと予測する。今日存在する大型ネコ類では相手にならぬと、彼の想いは氷河時代のホラアナグマとサーベルタイガーへと発展する…。

西部開拓時代のアリーナは時の労働者を興奮させたようだが、現代人の想像力をも刺激する。Storer と Tevis は On the Old West Coast (Horace Bell, 1930) に描かれたライオンとグリズリーの戦いを紹介している。
 ロサンゼルスで捕獲されたハイイログマがメキシコのモンテレイに送られ、ピットでライオンと戦った。この時クマはまるでネコがネズミを扱うように簡単に素早くライオンを殺してしまったので、観衆は何が起こったのかすぐには理解できなかったほどだった(California Grizzly, 1955)。