>>105続き
 6時間半もの間、ザトウクジラはヒレや尾を使ってシャチを追い払い続けた。ザトウクジラたちは、好物のオキアミの群れが近くにいるにもかかわらず、死んだ子クジラを守るのをやめようとしなかった。

 なぜザトウクジラは、まったく違う種を守ってケガをする危険を犯したり、労力を使ったりするのだろうか。明らかなことは、これが唯一の事例ではないことだ。
2016年7月に科学誌「Marine Mammal Science」で発表された研究によれば、このようなザトウクジラとシャチの戦いはここ62年間で115回も記録されている。

 研究の共著者であるシュルマン=ジェニガー氏は、「このようなザトウクジラの行動は、世界中の複数の海域で発生しています」と言う。

「私も何回か目撃したことがありますが、あのとき(2012年5月)ほどドラマチックなものはありませんでした」。
現在まで、ザトウクジラとシャチの戦いがここまで長時間にわたって繰り広げられたという報告はない。(参考記事:「【動画】ザトウクジラが桟橋前で大口開け食事」)