>>88つづき

 ある個体が食事をしたり、シェルターを作り始めたりしているところによそ者の個体が近づくと、シェルターを作っている個体は肛門と口器の振動を強めた。

 ヤック氏らのチームによる研究では、よそ者が接近すればするほど、シェルターを作っている個体は盛んにシグナルを出していた。(参考記事:「【動画】体を点滅させて言葉を交わす巨大イカ」)

 そして、シェルターを作っている個体の振動音が大きく複雑であればあるほど、よそ者の個体がシェルターの仲間に加わる確率が高く、振動が仲間集めに使われているという仮説を裏付ける結果となった。

 ヤック氏は、「彼らのような小さなイモムシの合図にも大変高度なレパートリーがあるのだと思います。仲間を増やすのは、その役割のごく一部でしょう」と話す。(参考記事:「植物は虫の咀嚼音を“聞いて”いる?」)

 例えば、よそから来た個体がシェルターの仲間に加わったあとも、イモムシたちは振動を使った互いのコミュニケーションを続ける。餌の摂取やシェルターの維持について意思疎通をしているのだ。