●モグラ(土竜)について語りましょう●
トガリネズミ目・モグラ科(Talpidae)に属する哺乳類
モグラはヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布する。 モグラはずんぐりとした胴体を持つ。
とがった鼻を持ち、眼は退化して小さく視力はほとんどない。
また、耳も外見からは見えない。四肢は短く、前足の掌部は平たく大きくなり、鋭い爪がある。
これらは地下で穴を掘って暮らすための適応と考えられる。
また、前足は下ではなく横を向いているため、地上ではあまりうまく扱えない。
全身が細かい毛で覆われ、鼻先だけが露出している。尾は短い棒状。 モグラは地下にトンネルを掘り、その中で生活する。
ただし、掘削作業は重労働であるため積極的に穴掘りを行うわけではなく、主となるのは既存のトンネルの修復や改修である。
地表付近にトンネルを掘ったり、巣の外へ排出された残土が積みあがるなどの理由で、地上には土の盛り上がった場所ができる。
これを「モグラ塚」という。 地中に棲むミミズや昆虫の幼虫を主な食物としている。
多くの種に見られる狩猟法は、一定の範囲内に掘られたトンネルに偶然引っかかって
トンネル内に落下してきた獲物を感知・採取するという方法である。
そのため、モグラのトンネルは巣であるのと同時に狩猟用の罠となっている。 モグラが地上で死んでいる例が時々見られ、「太陽に当たって死んだ」とされ、モグラは日光に当たると死ぬと言われてきたが、それは誤りである。
モグラは普段地中に住み、地上はめったに出てこないため「太陽に当たって死んだ」と誤解されたのだろう。
実際にはモグラはしばしば昼間でも地上に現われるが、人間が気付かないだけである。
死んでいるのは、仲間との争いで地上に追い出されて餓死したものと考えられる。 実際、モグラは非常な大食漢で、胃の中に12時間以上食物が無いと餓死してしまう。
この特性を知らないでモグラを飼い、餌を与えきれずに死なせてしまうことが少なくない。
なお、餌が手に入らなかった場合の対策として、唾液に麻酔成分が含まれており、
それによって獲物を噛んで仮死状態にして巣に貯蔵しておくという習性を持つものが存在する。
一生地面から出ないイメージがあるが実は泳ぎが上手く、移動中やむなく水辺に当たった場合などは泳いで移動をする。 日本では、古くはモグラのことを「うころもち」(宇古呂毛知:『本草和名』)と呼んでいた。
また、江戸時代あたりでは「むくらもち」もしくは「もぐらもち」と呼んでいた。
なお、モグラを漢字で「土龍」と記すが、これは本来ミミズのことであり(そのことは本草綱目でも確認できる)、
近世以降に漢字の誤用があり、そのまま定着してしまったと考えられる。 昔田舎に住んでた時、飼ってた猫がしょっちゅう近所の畑からモグラ捕まえてきてた。
良く捕まえられるなと感心したもんだわ、1回自分もモグラ探したが全く捕まらなかった。 ミミズは硬い土を柔らかくしてくれるし糞は肥料になる
モグラはそのミミズを食べるし土をほっくり返して根の定着を阻害して苗を駄目にする
畑を荒らすモグラは害獣 モグラのすみかの近くには必ずある特定のキノコが生えている。
これはモグラの糞を栄養源にしているキノコで、ナガエノスギタケという。
そのキノコの下を掘ってみるとモグラの巣のトイレがある。
つまり、モグラの巣の中にはトイレの部屋があることが、このキノコの存在で分かる。 モグラがさしづめ水の中を泳ぐように常に地中をモコモコと掘りながら進み続けるというのは間違ったイメージである。
実際は先祖代々、受け継がれてきた地中に張りめぐされたトンネルを増築・改修・修理を行いなが ら利用を続けているというのが主な生態。 畑にモグラのトンネルが現れた際にトンネルと接触した農作物の根が食害を受けることがあり、モグラに齧られたと言われる事がある。
だが、モグラは動物食であるためこれは誤りで、実際に食害しているのはモグラのトンネルを利用したネズミなどによるものである。 日本には4属7種のモグラ類が棲息し、さらに複数の亜種に分けられるが、分類には異説もある。
7種のうち、コウベモグラを除く6種が日本固有種である。
北海道を除くほぼ全国で、都市部以外では人家周辺でも普通に「モグラ塚」が見られる。
たとえば、都心の孤立した緑地である皇居でも、吹上御所にアズマモグラが棲息している。
日本のモグラ類は、あまりモグラらしくないモグラであるヒミズ(日不見)類と、その他の真性モグラ類とに大別される。
ヒミズとヒメヒミズは森林の落ち葉や腐食層の下で暮らすが、動きが素早く、しばしば地上にも現れる半地下生活者である。
2属5種の真性モグラ類のうち、コウベモグラは西日本に、アズマモグラは主に東日本に広く分布する。
両者の生息域の境界線は中部地方にあるが、やや大型のコウベモグラが少しずつ東側に生息域を広げつつある。
これは、先に大陸から移入したアズマモグラが日本全土に生息域を広げたあとに、新たに大陸から移入してきたコウベモグラが東進しているためともいわれる。
一方、アズマモグラ以前の先住者といわれるコモグラ、ミズラモグラなどは生息域が減少し、
山地などに隔離分布するようになってきており、それぞれに程度の差はあるものの、絶滅が危惧されている。 日本のモグラ
ヒメヒミズ属 ヒメヒミズ【本州・四国・九州、日本固有種】
頭胴長70〜84ミリと、非常に小型。外形はモグラとトガリネズミの中間。
ヒミズと競合し、より標高の高い山地に棲息。
はっきりしたトンネルは掘らず、落ち葉の下などで単独で生活する。
本種のみでヒメヒミズ属を構成する。
ヒミズ属 ヒミズ【本州・四国・九州・淡路島・小豆島・対馬・隱岐など、日本固有種】
落ち葉や腐食層に浅いトンネルを掘り、夜間には地表も歩き回る、半地下性の生活を営む。
対馬の個体群を亜種としてU.t.adversusとすることもある。本種のみでヒミズ属を構成する。
ミズラモグラ属 ミズラモグラ【本州(青森県〜広島県)、日本固有種】
本州からしか発見されておらず、棲息数は少ない。
棲息域によってヒワミズラモグラ、フジミズラモグラ、シナノミズラモグラの3亜種に分ける説もあり、
これらがそれぞれ 準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)に指定されている。 モグラ属
アズマモグラ【本州(中部以北のほか、紀伊半島、広島県などに孤立小個体群)・四国(剣山・石鎚山)・小豆島・粟島(新潟県)、日本固有種】
主に東日本に分布する日本固有種。山地に棲む小型のものがコモグラとして亜種とされることもある。
コウベモグラ【本州(中部以南)・対馬・種子島・屋久島・隱岐など】
西日本に棲息する大型種で、アジア大陸にも分布。屋久島と種子島に棲息する小型のものをヤクシマモグラ として亜種とする説もある。
サドモグラ【本州(越後平野)・佐渡島、日本固有種、準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)】
越後平野の個体群は、佐渡島のものよりやや大型で、エチゴモグラとして別種とする説もあるが、サドモグラの亜種とされることが多い。
農業基盤整備事業等による環境の改変のため、越後平野の主要な棲息地が大型モグラの棲息に不利な環境となり、
小型種のアズマモグラが侵入するとともに、エチゴモグラは分布域を縮小しつつある。
エチゴモグラは絶滅危惧IB類(EN)(環境省レッドリスト)に指定されている。
センカクモグラ【尖閣諸島、日本固有種、絶滅危惧IA類(CR)(環境省レッドリスト)】
1976年採取、1991年新種認定。標本は、亜熱帯の尖閣諸島に属する約4平方キロメートルの島、魚釣島の、海岸近くの草地で捕獲されたメスの1体のみ。
生息数は非常に少ないと考えられるが、1978年に魚釣島に持ち込まれたヤギの大増殖による環境破壊のために、存続が危ぶまれている。
発見当初はNesoscaptor属を作りNesoscaptor uchidaiとして1属1種とされたが、現在はモグラ属に含める説が有力である。 海外のモグラ
ホシバナモグラ属ホシバナモグラ
北アメリカに生息。鼻の先端に左右あわせ22本の突起が放射状に配置している。
大脳新皮質の一次体性感覚野には左右それぞれ11本の鼻の突起に対応した体性感覚地図がある。
本種のみでホシバナモグラ属を構成する。
ロシアデスマン属ロシアデスマン
水生生活に適応したモグラ。体長18〜21.5cmとモグラ科で最も大きい。
本種のみでロシアデスマン属を構成する。
ピレネーデスマン属ピレネーデスマン
スペイン北部、フランス南部、ポルトガル北部に生息する。本種のみでピレネーデスマン属を構成する。
アメリカヒミズ属アメリカヒミズ
北アメリカに生息する。本種のみでアメリカヒミズ属を構成する。
セイブモグラ属トウブモグラ、セイブモグラなど
北アメリカに生息する。
ヨーロッパモグラ属ヨーロッパモグラなど
ヨーロッパに広く生息する。 珍発見オレンジ色のモグラ
松江市上乃木10丁目の松江総合運動公園で、オレンジ色のモグラが見つかり、散歩で通りかかった
同市大庭町の会社役員、福島光悦さん(49)が携帯電話内蔵のデジタルカメラに収めた。
突然変異による色素欠乏が原因とみられ、安佐動物園(広島市安佐北区)は「生きたまま目撃される例
はほとんどなく、極めて珍しい」と話している。
福島さんが2日早朝、園内を散歩中にガサガサという音に気付き、散策道の側溝をのぞき込んだところ、
オレンジ色した体長20センチほどのモグラがいたという。
「すぐにモグラだと分かった」と言う福島さんは「珍しい色をしていたので撮った。帰ってインターネットで
調べてみたら、希少だと分かり驚いた」と話した。
同じような色のモグラ標本を所蔵する安佐動物園などによると、モグラは胸から腹にかけてだいだい色
の液体を分泌する腺があり、この分泌液の影響で希(まれ)にオレンジ色に”変身”するらしい。
山陰中央新報
ttp://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=522285179 ttp://i.telegraph.co.uk/telegraph/multimedia/archive/01455/mole_1455466i.jpg
ttp://www.telegraph.co.uk/earth/earthpicturegalleries/5966251/The-weirdest-animals-on-Planet-Earth.html 日本では、古くはモグラのことを「うころもち」(宇古呂毛知:『本草和名』)と呼んでいた。
また、江戸時代あたりでは「むくらもち」もしくは「もぐらもち」と呼んでいた。
なお、モグラを漢字で「土龍」と記すが、これは本来ミミズのことであり(そのことは本草綱目でも確認できる)、
近世以降に漢字の誤用があり、そのまま定着してしまったと考えられる。