>>142続き

「陰茎骨」とは、その名の通り哺乳類動物の陰茎に備わった骨のことで、「全ての骨の中で最も多様」といわれるほど、動物によって大きさや形に著しいバラつきがみられる。
たとえば、猿の一種であるマーモセットの陰茎骨はわずか2mmしかないが、セイウチは60cmもあるというのだ。

それぞれの哺乳類が必要に応じて進化させてきた陰茎骨は、それだけ生殖や種の保存にとって重要だということだろう。
なぜ、人間はそれほど重要な骨を必要としなくなってしまったのだろうか?

英紙「Daily Mail」(12月14日付)によると、ロンドン大学の研究者らの調査で、陰茎骨の消失には意外な理由があったことが判明したという。
なんと、人間の性交の仕方と婚姻制度に原因があったというのだ!

研究チームを率いるマチルダ・ブリンドル教授によると、陰茎骨が哺乳類に備わったのは145〜95万年前のことで、その目的は交尾時の長時間挿入(3分以上)をサポートするためだったという。
交尾において、挿入時間が長ければ長いほど、メスが他のオスと交尾する機会が少なくなり、自分の遺伝子が伝達される可能性が高まる。
そのため、競争相手が多く、挿入時間が長くなると、比例して陰茎骨も大きくなるという。

ところが人間の場合、190万年前のホモ・エレクトス以来、男性が1人の女性をパートナーに選ぶ、いわゆる一夫一婦制が広がったため、メスを巡ったオス同士の競争が起こりにくくなり、陰茎骨を消失してしまったそうだ。
また意外なことだが、一般男性の挿入時間はたった2分ほどしかないため、わざわざ骨でサポートする必要も無いという。

「人間は長時間の挿入もしませんし、性交したメスが他のオスに横取りにされるようなことは(自然界ほど)起こりません」
(ブリンドル教授)