個体数が減少しているか否かは、生息数の相対的な比較が必要。
過去との比較と地理的な比較。
生物調査全般に言えることだけど、生き物の数の良し悪しにおいては絶対的な基準ない。

ツキノワグマの推定個体数を算出する方法で、
現在主流なのは、メッシュで地域を区分し、餌でクマを誘引し、
二重ヘヤートラップで体毛を採集し、DNA分析にかける方法。

重要なのは個体数は推定値であること。
体毛を回収できてもサンプルの劣化などでデータ回収率は5割から7割程度。
さらにヘヤートラップでの体毛が引っかかる率もまだ少なく、餌で誘引される個体も重複する傾向がある。
それをメッシュごとに乗算するわけだから誤差がひどいことになる。
一応係数で、精度を補っているが無いよりマシ程度。

算出された推定個体数の中央値からさらに+-2倍以上の誤差になるという報告もある。

なんでこんなことになっているかというと、日本にクマの研究者は非常にすくない。
テレビに露出するのは哺乳類の研究者であって専門は、小型哺乳類やシカ、イノシシ、ニホンザルなどが多い。
ツキノワグマの研究なんかやっても予算が下りないし、成果の割りには調査がキツイから誰もやらない。
クマよりむしろ研究者の絶滅の方が問題。