中国に公金で売り込みをかける原発企業:ウィキリークス | Laskumise veekeeris (Descent into the maelstrom)
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以下はウィキリークスが公開した公電の要約。

●中国の原発プログラムではこれまで競争入札が行われたことは一回しかなかった。応札したのはウェスチングハウス(AP1000)、
アレバ(EPR)、そして、アトムストロイエクスポート(VVER – 1000)。
ウェスティングハウスは、三門に2基と海陽で2基、合計4つの原子炉建設契約を獲得した。それをのぞけば,残りの原発は公開
入札を伴わず,高度な政治的な配慮に基づくものであった。ウェスティングハウスの落札にしても政治的な決定であった疑いが強く,
そのあと,すぐにフランスのアレバとロシアのアトムストロイエクスポートは入札によらず,契約を獲得した。
アレバが受注したのは広東省の台山原発にEPR2基。20年間の燃料供給、使用済み燃料の再処理の支援込みで$160億ドルで受注
した。アトムストロイエクスポートは田湾原発の2基増設を受注したが、それにはウラン濃縮装置の供給というおまけもついていた。
現在計画中,もしくは建設中の原子炉は30いくつかあるが、4基のAP1000、2基のEPR,2基のVVERをのぞけばすべてはCPR-1000
である。

●中国の原発はずっと加圧型(PWR)が主流で,東芝の子会社であるウェスティングハウスは主力のAP1000の売り込みをもくろんで
いた。採用を決めた原発の大半を占めるCPR-1000はフランスのフラアトム(現アレバ)がウェスティングハウスのデザインに基づき
フランスで「国産化」したCPY型を90年代に導入し、「国産化」した100万キロワット級PWRの原子炉。大半の部品を中国メーカーから
調達できるという利点があり、比較的安価で、建設期間が短いと言われている。

●国家エネルギー局(NEA)の張国宝によれば、中国は原発の発電量を2020年までに50〜60GWに引き上げる計画だという(現在の
目標は40 GW)。これはさらに10〜20の新規の原発に匹敵する。この目標を達成するには,今後5〜6年以内に建設が開始される
だろう。これらの原発はおそらく内陸部に建設されることになるだろう(注:現在はすべての原発が海岸沿いにある)。これは内陸
地方における電力不足に起因する広範な地域での停電を解消する狙いがある。
中国はまだこれらの原発に関する入札プロセスを発表しておらず、入札プロセスを経るかどうかもかなり疑わしい。たぶん、高度の
政治決定によるのではないかと思われ,それもプラントごとの発注ではなないのではないかと思われる。

●GEの中国への原発売り込みの要求に応え、大使館は北京駐在のGE担当者と会談した。中国はGEの沸騰水型原子炉(BWR)に
全く興味を示さず,GEニュークリアは、前のに入札に招待すらされなかった。
GE担当者によれば、国家発展改革委員会(NDRC)は、加圧水型原子炉(PWR)中心主義できたが,BWRにも理解を示しつつある
ようだ。中国の業界筋によれば,BWR導入で部品の調達先が広がることは中国の原子力産業に有益だと考えられている。特に
CNNCはCPR – 1000だけでは2020年までに,最大30GWしか容量が増やせないことを憂慮している。またBWRには加圧器や蒸気
発生器などがいらないため,必要な部品の数も減る。
GEとパートナーの日立はすでにABWRを4基建設し,日本と台湾でさらに6基を建設中だ。建築期間もPWRは少なくとも48カ月かかる
のに比べ、ABWRは37カ月しかかからない。ABWRは唯一稼働中の第三世代原子炉でもある。昨年日本で起きた大地震の震源に
非常に近い場所に立つABWRは破損もせず,放射能も放出しなかった。競争相手の技術にも耐震設計はなされてはいるが,まだ
このような実戦をくぐってきてはいない。GEの中国代表はそう締めくくった。