科学が説得しなくても、お金がやる。

¶10.(取扱注意だが非機密指定)九電の新聞への情報提供者によると、玄海
町当局者はプルサーマル計画の認可をしたいと考えているようだ。しかし、現
今の問題は、玄海町よりずっと大きい唐津市からの反対である。2005年1月の
自治体合併により、唐津市の市境は玄海原発にずっと近づき、2万7千の新しい
唐津市民(玄海町の人口の4倍)の相当数は原発の10q圏に現在暮らしている。
九電は、玄海原発での新しい原発計画について行政主体の認可を求める「安全
協定」を玄海町および佐賀県と1972年以来結んでいる。だが、そのような協定
は唐津市との間には無く、協定に参加させるように唐津市が迫っているが、九
電および佐賀県当局者の双方ともこの余計に面倒な事態に抵抗している。

¶11.(取扱注意だが非機密指定)12月、唐津市議会は会計年度末(2006年3月)
までに九電のプルサーマル計画に対する公式の立場を示す「プルサーマル特別
委員会」を発足させた。九電は、唐津市当局者にとっての最大の考慮事項は安
全性では無くお金ではないかと疑っている。現在の体制で、玄海町は国の助成
金187億円(1ドル110円換算で1億7千万ドル)をこの30年間受け取ってきた。
巨額の固定資産税および法人税に加え、九電自身が少なくとも30億円(2700万
ドル)の一時金を、地元反対派に対処するための「協力料」として玄海町に支
払ったと伝えられている。地元の論者は、唐津市はこのアブク銭を手に入れる
立場を欲しがっているのではないかと推測している。

所見

¶12.(取扱注意だが非機密指定)日本政府と日本の発電業界は、九電のプル
サーマル計画の成功裡に立ち上げられれば、日本政府が行う「核燃料サイクル」
唱導の弾みになると期待しており、実際、九電はまもなく計画を進めるための
地元の認可を勝ち取る見込みである。それでも、新聞との議論の中で九電当局
者は、なぜプルサーマル技術は安全かに関する九電と経産省の詳細な説明を受
けることを拒否する反対派に対するいらだちを隠していない。九電の幹部は、
プルトニウムは現行の発電方法で既に生まれている当然の副産物であると述べ、
反対の原因は一部の日本人にある原子力エネルギーに対する「不合理」な恐れ
にあり、その恐れは科学に基づかない安心のさせ方で変えることができるかも
しれないとする。だが、プルサーマル技術に関する意見は原子力専門家の間で
も別れている。九電当局者は、近年他の電力会社の原発で起きた安全に関わる
一連の失敗によって、住民の本当の信頼を得る労力が業界にかかっていること
を認めた。

¶13.(取扱注意だが非機密指定)プルサーマル計画は、今日の日本における
中央政府と地方との関係の発展的特質を例証している。玄海原発の幹部は新聞
に、この計画が20年か30年前に提案されていたら、日本政府の認可と安全に関
する九電の保証が前進するための十分な基礎となっただろうと話した。しかし
最近、地元の感情が無視できず、唐津市のような場所の当局者はそのことを知
っている。「チホウブンケン」(地方政府への権限委譲)を進めるため地方自
治体の合併を推し進める日本政府の政策の皮肉なねじれにより、唐津市は今や、
より大きい合併後の地位を生かし、日本政府と九電からより多くの譲歩を引き
出そうとしている。日本は高度に中央集権的であり続けるかもしれないが、も
はや東京の当局や有力企業は、自分たちがすべてを牛耳ることはできなくなっ
たと気付きつつある。所見終わり。

ウォン