ちなみにこれは自説でも何でもなく
声優を研究している論文でも指摘されている事


日本における「声優」とは何か?――映画史の視点から――
https://www.gakushuin.ac.jp/univ/let/top/publication/JI_24/JI_24_020.pdf

この「ラジオ俳優」を日本放送協会文芸部の小林徳二郎が「声優」と名付けたことが、
「声優」という言葉のはじまりだと勝田久は回顧している16)。
とはいえ、その後のテレビ放送の開始以後、この「ラジオ俳優」の系譜は、
現在の「声優」やラジオ従事者にはそのまま接続してはいない。

森川と辻谷の論文に詳しいが、「ラジオ俳優」の多くは、
NHK東京放送劇団の第一期生であった黒柳徹子をはじめとして、活動の場をテレビへと移していき、
「ラジオ声優がそのままテレビ時代において声優として留まることは殆どなかった」とされる17)。
こうした事実を踏まえているに関わらず、森川と辻谷は「ラジオ俳優」を「声優」のルーツとしている。

しかし、既に述べた通り彼らのメディアに対する解釈は狭いものであり、
「声の演技」という点だけで「声優」を定義することはできない。
その実際の活動から「声優」を考えれば、
「ラジオ俳優」は「声優」とは全く異なる存在であることは明白だ。