2027年、NHK紅白歌合戦。 それをテレビで見つめる女性がいた。
13歳で将来を嘱望されホリプロへ入所した、木戸衣吹さんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する木戸衣吹は、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。紅白で、作品を引っ提げて出場する夢を」
木戸さんは13歳の時にホリプロと契約するものの、
出演作に恵まれず、更にアイカツシリーズの終焉後は仕事量が激減、ホリプロインターナショナルから契約解除を受けた。
今は居酒屋を営む傍ら、地元の芸能スクールの講師を勤めている。
暖簾の屋号の文字はかつてのライバル・夏川椎菜の手によるものだ。
「いらっしゃい」。青森駅から歩いて3分。
「居酒屋 おまじない」の黃色の暖簾をくぐって店内に入ると割烹着姿の木戸さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『おまじない』という文字はナンちゃんに書いて
いただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙でも取り上げてもらった。
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
木戸さんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。
とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
かつてのライバルで現スタイルキューブ所属のMachicoについて尋ねると…
「知ってます?ホリプロ時代は私の方が注目されてたんですよ?」と、おどけ
「私も運さえあればって…歯がゆいですけど」
「今はもう声優業に未練はありません。今度はこの飲食業界で日本一になれるよう、
がんばるだけです!」
(写真)芋焼酎を手に持つ木戸さん