声優人口が増えダンピング化
2022年03月02日

アニメ業界の中で、声優の労働環境だけが改善が進んでいないと訴える榎本さん。
理由にアニメ出演ギャラの安さと、声優の立場の弱さを挙げた。
「アニメーションのお仕事の値段が安すぎる。値段を上げていくことができるんですが、実際はダンピングが起きているんですね。
ほとんどの方が値段を上げられない。長い番組に入っている人か、相応に自信がある方だけが上げていける」
東洋経済オンラインに掲載された声優の大塚明夫さんの記事によると、
声優の出演料はキャリアと作品形態に応じたランク制で決められ、デビューしたばかりの新人声優は「ジュニア」というランクで計算される。
榎本さんによれば、ジュニアでの出演料は1回1万5000円だが、そこから上げようとすると
「1万8000円になるとレギュラー(の仕事)では高いって言われるんですよ。1万5000円との差額を現場は払えないってことなんですよね」
と榎本さんは明かした。さらに、
「(出演料が)それ以上は望めないので、女性声優で先にダンピングが起きて。人数も増えたので皆1万5000円から上げることができない」
と声優の過当競争による影響を示唆し、同じことが男性声優の間でも起きていると話した。
榎本さんは「私が24年間アニメーションの仕事をしていて変わってない」とも話す。

拘束時間と報酬が見合っていない実態も榎本さんは語った。
通常、声優と所属事務所の関係は雇用契約ではないため、声優は個人事業主扱いで労働関係の法規が適用されない。
「3か月のアニメーションなのに半年キープがあって、主役じゃない限りは3本くらいしか出ないみたいなことも結構あるんですね。
で半年キープされて3本出て3本分のお給料しかもらえないんですね。
プラス、スケジュールのバラシ(予定していた仕事が流れること)になるのが遅すぎるんで前の日にバラシになったりするんですけど、
本当は前日バラシの料金が払われるはず。なんですが、それを守っている会社も少ない」
話し、「労働環境の改善を求めているんですけど、我々も制作にお金がないのは知っているので、
まあ言っても改善されないかもということで、長い間こうどうしようかなみたいになっているという形です」
「1万8000円で高いと言われる業界です」と改善が進まないことを訴える。