今も昔も起用する側にとっては、良い人材を安く使いたいというのが一番だろう
ジュニアは青臭さを売るのではなく、安さと引き換えに名を売れるかどうか

1990年 | 日本俳優連合30年史 | 日本俳優連合 オフィシャルウェブサイト
https://www.nippairen.com/progress/30his/30his023.html

この文章中に出てくる「ジュニア」とは、声優の養成所などを卒業して
各事務所などに所属が決まったばかりの「新人」を意味しています。

プロ野球でいえば「ファームで訓練中」の選手のような半人前扱いの人たちです。
まだ、基準出演料すなわち「ランク」を与えられず、2年間はその身分に甘んじなければなりません。
しかし、プロ野球の中に高校を卒業したてでもチームの主力選手として活躍する人が出てくるように、
声優の世界だって一定の訓練を受けた直後からスターになってしまう人が出現します。

ところが、プロ野球なら活躍した翌年には、一気に、年俸が上がるのに対し、
声優の世界では2年間は固定で、最低額の「ジュニア・ランク」で据え置きとされてしまうのです。

このことは、結果としての声優の待遇悪化を促進してしまいます。
なぜなら、優れた新人が見つかったとなると、その人を抜擢し、
安い出演料で出演させてしまえば製作会社にとって有利だからです。

こうした動きはベテランを抱えたマネージャーに焦りを感じさせ、
出演の機会をつかむためにはランクアップを自粛し、総体的に出演料低迷の実態を生み出してしまうのでした。