声優になりたいと思ってる人に話を聞くと「とにかく事務所に入りたいんです」と多くの人が言います。
事務所に入れば声優になれると思ってるし、仕事がもらえると思っている人が多いんです。
でもそれは間違いです。

特に事務所が大きくなれば大きくなるほど、事務所に入ってくる仕事の量は多くなるでしょうが、
事務所に回ってきた仕事は事務所内でより多くの役者の中で振り分けられます。
もっとシンプルに言えば、事務所の中で取り合いになります。
事務所に入ったのに1年で1本しか仕事をもらえなかった、という同業の方もいました。

だから事務所に入れば売れるわけではありません。
そして事務所の中で仕事をもらえる人にならなくてはいけないんです。
つまりまず事務所の中で好かれなくてはいけない。
事務所の中で推される人間にならなくてはいけないんです。

今は声優になりたい人も、声優として活躍していらっしゃる方も圧倒的に人数が多いです。
そして声優はクライアントさんからお仕事をいただいて使っていただく側の人間です。
ただ、それとは反対に時間がない、お金がない中で作られているものもたくさんあるので、
声優さんのことを「使っている」という認識の現場があるのも否めません。

その中でそんなことを気にせず、這い上がっていける人だけがきっと生き残れる業界なんじゃないかと思います。
人数が多い分、代わりはいくらでもいる、と思われがちなのが現状です。
お金にならないけど芝居がしたい、
自分が傷つくことを言われても、どんな扱いをされても、声優業界で生きていきたい、
そう思える人がこの世界に向いている人です。