「東京地裁429号法廷」で、ピンと来る方は、かなりの通です。いわゆる警備法廷で、裁判所が勝手に、この事件は、この被告人らは問題あるな、と認定すると、この法廷に回されます。法廷に入るに際し、傍聴人は、改めてボディチェックされ、荷物が預かられてしまいます。
 弁護士成りたてのころから、この法廷での事件を割とやっていて、「マイコート」なんて気持ちにすらなりますが、こういうところでの審理はたいてい「荒れる法廷」になり、傍聴席、被告席から、裁判長の退廷命令で、警備員が暴力的にどんどん人々を連れ出します。おお、まさに暴力装置の中枢だな、と思います。
 こんな場面が多いので、息子や娘が被告人となっている裁判を最初は「うちの息子が馬鹿なことを・・」と思いながら来ていた親御さんたちは、たいてい裁判が終わると、「あれは、裁判官がひどい!息子は正しい」に変わるので、それはそれで、傍聴っていいなと思います。とにかく、あまりにも理不尽な暴力を目の前にするとショックからそうなるのだと思います。
 弁護団として、裁判所から退廷命令を出されてしまったこともあります。その時は、さすがに職員もバツが悪そうで、引きづり出されはしませんでしたけれどね。