https://president.jp/articles/-/56072?page=1
>「専門家の説明はわからないことが多くて頭に入らない。聞きたくなかった」といった言葉を、反ワクチン集団の内情を教えてくれた人々はよく口にしていた。
>「尾身さん(尾身茂・新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)のことが気に入らない人はみんな、『偉そうに指図しやがって』と思っている」(元陰謀論者の40代男性)。
>「そうなったらいいなと思っていることを、専門家に『間違っている』と言われるのは嫌がらせをされているように感じる。こんな雰囲気が仲間うちにあった」(元陰謀論者の20代女性)。
>「アトピーの治療で医者が信じられなくなった。どうして嫌みを言われていじめられなくてはいけなかったのか」(ワクチンが信じられない男子大学生)。
>家族が反ワクチン派になってしまったという30代女性は言う。「(問題の家族にとっては)『反ワクチンの先生たちは自分たちをわかってくれている』という信頼感がすごい。わかってもらえたり認めてもらえたりした経験がきっかけで、深入りしていったみたいです」

>では、こうしたグループで指導的な立場にあるのは、どのような人々なのだろう。筆者の観察したところ、2つの系統があるように思われる。
>ひとつめは末端の構成員と同じ成り立ちを持つ者で、ここまで説明してきたようなさまざまなタイプの人々が、時を経てリーダーに昇格したパターンだ。自分を正当化してくれたり肯定してくれたりする説を普及させる伝道師(エバンジェリスト)といえる。
>2つめは商売や名誉のためにワクチン害悪論や陰謀論を利用する者で、当人たちは説をまったく信じていないか、部分的にしか信じていない。敵を設定することで、味方を増やして何らかの実利を得ようとする詐欺師や山師(インポスター)だ。
>インポスタータイプの指導者もまた2つの系統に分かれる。商売と割り切って構成員や顧客との距離を保ち続けるリアリストと、距離を保つことができなくなり、自らが作り出した熱狂に巻き込まれていく者だ。
>後者は味方からの期待を裏切れず、言動にどんどん過激さが増して、収拾がつかなくなる。接種妨害騒動を起こすような過激な反ワクチン団体の幹部や、おかしな説を唱え続けてファンを増やしメディアでもてはやされた医師たちには、筆者から見て後者の傾向が感じられる。