引用ツイートで前のスレッド55で出てきた方がいたので。

https://mobile.twitter.com/NSdd8ycSKnloAMh/status/1385050039131668485

>今のネット上の無法地帯な現状なら改正されて削除、規制されるのが当たり前ではありませんか?

管見の限り、これは何も「二次創作」という法律上の定義(明文)が存在しないコンテンツの議論のみならず、昨今のいわゆる「違法ダウンロード」、遡れば「TPP問題」や検索エンジンが著作権法上において違法な存在だった時代(平22年改正施行済)においても、日弁連や学者の方々(典型例としては中山信弘先生)とかからも、そのような意見はなかったと自分は記憶している。因みに検索エンジン云々は本邦で実際に争ったかは知らないが、アメリカではそうした事例はいくつか存在する(Perfect 10対Amazon.com事件やフィールド対Google, Inc.事件がそれ)。

二次創作の話に戻るが、この方の以下のスレッドを読むと「他人の版権キャラで稼ぐの厳しい罰則ありで一律禁止 未成年も対象の版権エログロイラスト、エログロMMDを作るの厳しい罰則ありで一律禁止及び削除」「エログロやるなら未成年完全に閲覧禁止のサイトで一次のオリジナルなら良いと思います 未成年対象の版権キャラのエログロイラストのまとめサイトとポルノサイトも駆逐されるのが必要です」といったのを法改正での規制で求めている…?そうだが、(著作権法に限って言えば)これも管見の限りだが、本邦には内閣法制局とそこでの条文審査が存在し、池村聡弁護士によればそれはそれは厳しいようで、条文を追加することを含めた法改正をする場合にせよ、既に著作権法や他の法律で使用された用語でなければ基本的に認めてくれないらしい。

ところで、スレッド内で登場する用語にはいくつかどのような態様を指すのが不確かで、それは本当に著作権法で対応できるのか?とか、そもそもそれは既に、防弾ホスティングなどといった現在でもとてつもなく大きい障害があるとはいえ、かなり厳罰化されているのではないか?とかいうものもあるが、それでも「二次創作小説」とそれと思しき用語が出てこなかったのは少し驚いた。

また、内閣府知的財産戦略推進事務局の資料などを読む限り、二次創作(含めたUGCコンテンツ)の規制…ではなく、むしろその反対の検討がなされているらしく、一律刑事罰というのもあまりよろしくないのではといった意見や、記事には参事官補佐からファンコミュニティやクリエイターに嫌がらせ目的で権利者に対して侵害通報する者もいるから手当が必要と思われる、といった意見もある。興味があれば以下のURL先の記事と資料を読んでほしい。

https://www.kottolaw.com/column/210128.html
因みに現行法上でも告発はできなくもないし(刑訴法第239条)、なんとなれば、犯罪があると思料すれば捜査機関は独自に捜査できるし(刑訴法第189条)、例外もあるが逮捕(刑訴法第199条・第200条)もできなくもないが、公訴機関の恣意が他国と比しても多分に認められている本邦では著作権法上の一部非親告罪を含めて必ずしも全部が全部起訴してくれるのかはわからないし(起訴便宜主義だっけ?)、親告罪で言えば告発の時点で民事不介入と言われるかもしれないし、通ったとしても寛容的利用(田村善之)か何かの理由で権利者が告訴しない場合もある(んだよね?)。

それと当時の本邦の著作権法の非親告罪絡みの議論では、このことから当時の警察の中の人からは、親告罪が捜査の大きな障害になるとかといった認識はしていないと発言していたり、(非親告罪化しても)被害者の協力や意向を抜きにして訴追をすることは非常に困難とも言っている。だから多分、今でも親告罪だとか非親告罪だとかについての警察の中の人の認識は当時と変わんないんじゃないかな。ただ、それはそれとして当時の知財法の先生方の間では意見が真っ二つに分かれていたらしいが。
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