小宮氏の言う「最善の相」は、概念的には「思いやりの原理」(principle of charity)と同じことを言ってるのだろう。
「思いやりの原理」(principle of charity)はれっきとした哲学の概念で、
伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』から引用すると、
「相手の議論を組み立てなおす場合には、できるだけ筋の通ったかたちに組み立て直すべきだ」
という原理である。
「思いやりの原理」(principle of charity)は日本語翻訳が確立していないようで、「思いやりの原理」以外にも「慈愛の原理」「寛容の原理」と訳される場合もらしい。
小宮氏と青識のやり取りに当てはめれば「最善の相」という用語は小宮氏の独自用語であり無価値なものとして一蹴するのではなく、
本質的に「思いやりの原理」同等のものとして認識し議論を進めるということが「思いやりの原理」に適った議論、ということになる。
相手の議論を意図的に意地悪に解釈して議論を停滞させる「わら人形論法」を諌める原理と言ってもいい。