圧倒的に優勢な連合軍空軍

 侵攻の第一日、連合軍航空部隊は三〇〇〇機以上の爆撃機、五〇〇〇機以上の戦闘機および戦闘爆撃機で行動した。
 ドイツ軍の第三航空軍は、全く圧倒されてしまい、橋頭堡地区に突入しようとした部隊は、護衛戦闘機に寸断されてしまった。
 また、昼間の対船団攻撃作戦は、全然問題にならないことが、すぐにわかった。
 第十航空兵団が、集結した輸送船に夜間攻撃を試みたときも、夜間戦闘機と対空砲火によって重大な損害をうけた。連合軍の船団護衛隊は、煙幕をたくみにつかって、誘導兵器の効果的使用を阻止したのである。
 連合軍は、侵攻開始からの一〇日間に、ドイツ空軍の攻撃によって、わずか五隻の船を失っただけであった。
 連合軍部隊が上陸すると、ドイツ軍は、かねて計画していた増強配置を実行し、飛行機を他の戦場から投入した。
 六月十日までに、三〇〇機の戦闘機と一三五機の爆撃機が、ドイツ本国およびイタリアから到着し、第三航空軍は、連合軍にたいして一〇〇〇機以上の兵力を保有することができた。
 この兵力は、第三航空軍としては、これまでのうちで最強のものであったが、それでもドイツ空軍は、数のうえで、約八対一ぐらいの比率で圧倒されていた。