ウチに、事故で人を死なせてしまった人がいる。
事故後、相手が死んでしまった事を聞いて、俺はもうそのドライバーには会う事はないのかもと思った。
正直、嫌いなドライバーだったが、さすがに気の毒だった。
それと同時に、死んでしまった相手の事を考えた。
歳はいくつか、家族はいるのか、事故現場には何の為にいたのか。仕事の行き帰りか、遊びの行き帰りか、事故に遭わなければその後どうしていたのか。彼を待つ人がいたのか。など。
会社では重苦しい雰囲気で、まるで葬式の帰りの様だった。
約1ヶ月後、そのドライバーが現場に現れた。事故直後に警察に拘留され、2.3日後に釈放されたらしい。検察官が、逃げる恐れはないと判断した様だった。
現場の人間が集められ、その中でその人は深々と頭を下げ、『こんな重大事故を起こしてしまい、本当に申し訳ない。被害者の方とその家族、この会社で一生懸命頑張っている皆にどうお詫びをしたらいいか分からない。これから一生掛けて償って行く。』と言った。
もう2度と免許は取らないつもりだそうだ。その後、構内作業員として勤務している。