新型コロナウイルスの感染者が相次いで判明している三重大(三重県津市)が学内の行動規範を守らずに生じた感染は「処分の対象になり得る」と学生らに周知すると、県の聞き取りに回答したことが分かった。感染者への処分を示唆するケースは極めて異例。現時点で学生への周知は行われておらず、大学は取材に「県への伝え方が適切でなかった」と説明している。

 県によると、三重大は「感染自体は責めないが、三重大の行動規範を守らずに生じた感染や感染後の対応に問題がある場合は処分の対象になり得ると、学生に周知する」と県の聞き取りに回答したという。

 三重大のホームページによると、この行動規範は4月に策定。「学生や教職員は、感染に至る可能性がある公私の行動を厳に慎むこと」と定め、毎日の検温や体調不良時の報告などを求めている。

 三重大の回答は、県内の新規感染事例を発表する28日の記者会見で、県が明らかにした。県は学内でクラスター(感染者集団)が発生したことを受け、大学に新たな対応を文書で尋ねていたという。

 ある県幹部は「そのような対応を大学に依頼していたわけではない」と説明。「これまでも感染者が発生した事業所に対応を尋ねてきたが、感染者への処分を示唆するような対応は聞いたことがない」と話す。

 三重大の教授も「ただでさえコロナの影響で落ち込んでいる学生を精神的に追い詰めてしまうメールだ」と指摘。「脅しのような文言ではなく、心に響くようなことを書いてほしい」と語った。

 一方、三重大広報室は取材に「学内で感染者が相次いで迷惑を掛けている状況で、学生にしっかりと状況を見極めて対応してもらうとの思いから県に対応を回答したが、伝え方が適切ではなかった」とした。

 その上で、感染者への処分を示唆するメッセージについて「現時点では学生らに出していない」と説明。「学内の執行部が年明けにも開かれる会議で具体的な対応について検討する」としている。


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