制度や法規を作るのは、時代を経て社会の構成員が変わっても社会のモラル
が崩さないようにするためだろう。どんな制度や法規も永久的な真理では
ないから長い時代を経ると変わるが、社会のモラルを崩さないようにするため
という制度や法規というもついての考え方が時代を経てもどの時代の人にも
共有されている期待があるはずだ。
 さて、制度や法規は国会議員たちによって変えられる。ボランティアという
形で無償労働が認められるようになった。最低賃金制が一部骨抜きになったと
も言える。制度、法規が変えられたわけだ。労働には報酬を払うという
社会のモラルが崩れるのは、水が低きに流れるのと同じこと。無償労働に
たいするやりがい搾取が起こっている。この影響は労働についての社会のモラル
以外のモラルにも及ぶかもしれない。
 社会のモラルを上から考え、それを制度、法規を作ることを通じて
かろうじてモラルの維持をしようとする人たちは
他者全般のことを考え、人間はかくあるべしという理想を持っているに
ちがいないわけだから、人間の社会侮るべからず、というわけなのだが、
私利私欲のためにモラルの侵食の歯止めをなくそうとする人も多いことは
事実だ。