女性が性別ゆえに受けている不利益を解消するのは大事なこと。
けれど、男性が性別ゆえに受けている不利益や抑圧は、女性には見えていないかもしれません。
男性差別問題の若手研究者・久米泰介さんが、見えなかった男性差別の真実を語ります。
今、日本は国を挙げて「女性の活躍」を推進し、女性の社会進出レベルを欧米並みに引き上げようとしています。
アメリカでも約20年前、同じような状況がありました。
企業での女性の昇進を阻む「ガラスの天井」を取り去ろうとする一方、
男性も家事育児を担うことで家庭内での権利の平等を目指しました。
その結果、何が起きたでしょうか。
私はアメリカの大学で家族学という領域を学びました。
日本は現在でもそうですが、30年ほど前のアメリカでは、
離婚するときに子供の親権を得るのは圧倒的に母親が有利で、
父親は慰謝料や養育費の負担があるのに子供にはなかなか会えないという状況にありました。
これを変えようという男性たちの運動が起き、実際に法律も変わってきました。
そんな中、親権問題だけでなく、さまざまな社会制度によって
男性は不利益を被っていると声を上げる人が出はじめたのです。
これまで、社会の中には「男の特権」や「男の優位性」が存在して、
それが女性差別を生む土壌になっていたと言われてきましたが、逆に男性を抑圧している
「女の特権」「女の優位性」もあるのではないかと指摘されるようになったのです。

(全文)http://style.nikkei.com/article/DGXMZO97258250T10C16A2000000?channel=DF260120166504&;style=1