なるべくして不幸な結婚式になったんだがその不幸な結婚式に巻き込まれた。
新郎は学生時代A君という同級生を頭がおかしい奴といじめていたそうだ。
そのA君から新郎に「お前が散々いじめてくれたおかげで俺は狂っちまったよ、結婚式を台無しにしてやるぜ!」と復讐を予告する手紙が送られてきた。
俺は新郎に警察に相談したり過去にそんな酷いことをしたなら謝った方がいいと忠告したのだが、「あんな頭おかしい奴に俺様が屈するわけないだろ」と聞かず結婚式を強行した。
で結婚式当日、俺は新郎の為にA君の襲撃を警戒していたが、いかんせん俺とA君は面識もないので顔も知らないし、新郎も「あいつに大それたことはできないからお前はゆっくりパーティを楽しんでくれればいい」とA君の顔を教えてくれなかった。
A君の襲撃がないまま式は順調に続いたが司会がここでサプライズがあると言い始めた。
それは新婦とA君が企画した新郎へのプレゼントで(何故かA君は新婦と接触を図っていた。新婦は新郎がA君をいじめていたことを知らない。)クマの着ぐるみがデカいプレゼントボックスを台車に乗せて押しながら入場した。
俺は新郎にこれはやばいと忠告したのも束の間、彼はクマの着ぐるみに殴りかかった。「ハハハ!お前の考えることはお見通しだ!」とクマの着ぐるみをボコボコにしてマスクを引っぺがした。
しかし新郎の顔は浮かばない。彼はクマの着ぐるみの正体はA君だと思って殴りかかったのだが、見当違いでクマの着ぐるみただの式場のスタッフ、彼の凶行にみんなドン引きしていた。
新郎は気まずそうな顔をしていたが次にプレゼントボックスに目を向けた。「ハハハ、このプレゼントボックスやたらデカイな。まるで人が入っているようだぞぉ?」とプレゼントボックスに飛び蹴りをかました。
それを見て「ちょっと!やめて!」と悲鳴を上げながら新郎を止めようとするも彼はプレゼントボックスへの攻撃を止めない。やがてプレゼントボックスかた壊れた古時計が露出し新郎は凍り付いた。
新婦は泣きながら「これは泣き祖父の形見の古時計よ…。あなたにプレゼントしようと思っていたのに酷過ぎるわ…。もう大嫌い!婚約破棄よ!」と式場を出て行ってしまった。
当然呆然する場内、新郎はふと我に返り「出てこいA!お前の望み通りになったぞ!ボコボコにしてやるから覚悟しろ!おい、カメラマンさっきから俺を撮ってるんじゃねえ!」と叫んだ。
その瞬間カメラマンがカメラを置いた。はっとする我々、そうA君はカメラマンに扮して一連の流れを撮影していたのだ。
激昂しながらA君に突撃する新郎、しかしA君は彼の腹に前蹴りを入れ怯んだ所にダーティディーズを決めた。
A君は笑いながら祝い用のシャンパンのグラスを一飲みし式場を去っていった。
新郎はA君に復讐すると息巻いているがやめておいた方がいい。今のA君は新郎の想像以上に強いし狂っている、まさにルナティックフリンジ、狂犬だ。