こうした男女の意識の差――女性は6〜7割の人が収入重視、男性は2割くらいの人が収入重視――は、じつは十数年前から変わっていません。

女性月刊誌『JJ』(2019年2月号)の調査「JJ世代の結婚白書2019」はもっと率直です。結婚相手の男性の年収は700万円以上(1000万円以上含む)と答えた女性が60%近くいて、
年収を気にしない女性は約8%にしか過ぎません。JJ読者には夢見る女性がまだ多いということなのでしょうが、それにしても700万円以上というのは、若い男性にとってはあまりにも現実離れした高いハードルでしょう。

もちろん、いままで女性が男性の経済データを重視しなかったわけではありません。そうではなくて、経済データを重視せざるを得ない状況ができてしまったということです。

30年前の被雇用者は、経済的に安定していました。ところがいまは、経済的に不安定な若い男性が増えているので、経済データを結婚相手の条件に挙げる女性が増えてきたわけです。

経済データほどではないにしろ、容姿と身長も男性が選別されるデータになっています。拙著『モテる構造―男と女の社会学』(ちくま新書/2016年)に詳しく書きましたが、それは、じつは子どものためなのです。

娘だったらルックスがいいほうがいいし、息子だったら身長が高いほうがいいので、自分のためというよりもやがて生まれる子どものために、男性は経済データだけでなく、外見つまりは遺伝子のデータでも選別される傾向が強くなっています。