統計データを見ると、今の若者は一概にお金がないとは言えない。
一人暮らしの若者の所得はバブル期より増えている。
若者を哀れんでいる現在の中高年の所得よりも多い。

しかし、これはあくまで一人暮らしの単身世帯のことであり、親元に同居している若者の状況はわからない。
現在、若者層では非正規雇用者が増えている。
このご時世で一人暮らしができる若者というと、正規雇用で年収水準の高い若者である可能性が高い。

つまり、厳しい経済状況にあると予想された非正規雇用者でも、男性の25歳以上では、家族世帯の大人より多くのお金を手にしており、
20〜24歳でも若い家族世帯の大人よりも多くのお金を手にしている。

正規雇用が多いバブル期の若者より、現在の非正規雇用者の若者のほうが、実際には多くのお金を手にしている層が多い。

また、若者は「海外離れ」や「留学離れ」をしているわけではない。
「クルマ離れ」は一部で起きているが、一人暮らしの女性ではむしろ自動車保有率が高まっている。
「アルコール離れ」は確かに20代では進んでいるが、若者だけの傾向ではない。

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久我尚子著(光文社新書)「若者は本当にお金がないのか? 統計データが語る意外な真実」