「劣性の致死性遺伝病因子」が発生する事があったとしても、
それは近親婚とはなんら関係ないのです。
たまたま、その因子を持って生まれた人がいたと仮定しましょう。
その人の子孫が、二人づつの子供を作った場合を想定します。
その人の子孫の配偶者は、全て非近親者だとします。
その人の子供二人は、2分の1の確率で劣性遺伝病因子を持っているので、
『保因者』は一人と考えます。
子供二人から、孫が四人生まれますが、保因者は子供の内一方だけですから、
孫四人のうち保因者は一人しかいません。
ひ孫八人も、同様に保因者になるのはひとりだけです。
この計算では、八代続いて、八代目の子孫が128人になっても保因者は
一人だけしか生じないことになります。
本人を含めた九世代全員を見ても、各世代に一人の割合で、255人の内
9人しかいないのです。
非近親婚の場合なら、実質的に”劣性遺伝病因子”が蔓延して、発症リスク
が拡大するなどという事は殆んど無く、そんな考えは偏見に基づく不安と思い
込みでしかないのです。
逆に、近親結婚の”劣性遺伝病”の発症リスクを考えてみます。
保因者の子供同士が子供を作ったとすると(あくまで仮定!)子供の保因率は
2分の1ですから、二人共に保因者の確率は4分の1です。
生まれる子供(孫)の発症率は4分の1ですから、この場合の『孫の発症リスク』
は4分の1×4分の1=16分の1になります。
次は、いとこ婚を考えます。
保因者の子供達は、非近親婚ですので、孫の保因率は4分の1です。
孫同士の婚姻で、両者ともに保因者である可能性は4分の1×4分の1=16分
の1で、さらに、出来る子供の発症率は16分の1×4分の1=64分の1です。
はとこ婚の場合は256分の1、又又いとこ婚の場合は1024分の1で、親等
が離れるほど、発症リスクは減っていきます。