>>65の続き

キリコが向かおうとする先は、家から2キロ先の清掃工場だった。
歩いて行けない距離ではないが、今はテイタニアに追われる身だ。走ったとしても
確実にテイタニアに追いつかれるのは間違いない。ゴミ収集車を奪うのは妥当と言えた。
そして、キリコがゴミ収集車を奪ってまで清掃工場を目指す目的とは…………。
昨日捨て損ねた資源ゴミを捨てるためだった。キリコの住む街では資源ゴミの
収集日は毎週土曜日なのだが、清掃工場そのものは稼働しているため侵入は可能だ。
部屋中の空き缶、空き瓶は先程のテイタニアとの戦い(掃除)で全て片付いたので、
この機会に捨てに行くことにしたのだ。
だが、ゴミ収集車を奪ったとしても、これでテイタニアを振り切れるとは思えない。
早く事を済ませなければならない。キリコはアクセルを踏み込み、スピードを上げる。
10分程走ったか、清掃工場の入り口が見えてきた。事は早く済ませるべきだが、
済ませられない場合は、奥の手を使う。清掃工場に来たのはゴミ捨てのためだけじゃない。
清掃工場には「あいつ」がある。それを使うことができるからだ。
この先にあるテイタニアとの再戦を予感しつつキリコはアクセルを全開にし、
入り口のゲートへと向かっていった。

つづく