>>61の続き

床のゴミを全て片付けた後もテイタニアはその手を緩めることはなかった。
カーゴパンツのポケットからテプラを取り出すと、文字を入力して本棚に次々とテープを
貼っていった。
各ジャンルの名前が印字されたテープを本棚に貼った後、ジャンル別に本を並べ直す。
まさにマーティアル第13階位「秩序の棚」の真骨頂だった。
今迄、汚部屋に埋もれていたルンバ527Jをリフティングの要領で足を使って上に浮かせ、
顔の前で手に取ると、今度はフリスビーの要領で軽くルンバを投げた。
投げられたルンバ527Jは床に落ちると同時に、入っていないはずの電源が入り、
スラローム走行を始めた。通常、ルンバでは考えられない行動パターンだ。
「遠隔操作か!?……」キリコの考えた通り、テイタニアの遠隔操作によるものだった。
そして、テイタニアは背中に背負ったダイソンDC74コンプリートを取り出し、そのノズルを
キリコの鼻先に突きつけた。「キリコ、私と共に来て貰おうか。」テイタニアは壁際に
キリコを追い詰め要求した。ジリジリと壁際を横に歩くキリコはテイタニアに対し答えた。
「行かなくては……ならない…………。」答え終わる間も無くキリコは玄関へとダッシュした。
そして、下駄箱の脇に置いてある、片付けたばかりの空き缶、空き瓶の入ったゴミ袋を掴むと、
その瞬間、玄関の扉を開け部屋を抜け出した。
「逃げるのか!!キリコ!!」テイタニアは部屋の中で叫んだそばから、キリコの追跡を開始した。

つづく