>>55の続き

右手に箒、左手に塵取り、背中にはダイソンDC74コンプリートを背負ったその女は、
道路を掃き清めつつキリコの家に近づいていく。
テイタニア・ダ・モンテウェルズ。マーティアル第13階位「秩序の棚」。
父であるマーティアル第9セクター支部枢機卿ヴィアチェフラフ・ダ・モンテウェルズの
命を受け、キリコを倒す、即ち、掃除人としてキリコを圧倒すべく彼女は送られた。
「劇薬たる者ならば私が印鑑なしで対峙して見せよう。」そのような闘志を燃やしつつ
彼女はキリコの家の前まで来たのだった。

ドアスコープの先に映るあの女は間違いなくテイタニアだった。彼女はキリコの家のドアを
真っ直ぐ見据えている。
キリコは居留守を決め込み、その場をやり過ごすことにした。気配を感じ取られたら
家の中に入られてしまう。自分の部屋ぐらい自分で片付けられる。何を捨てるのか、
何を残すのか。そんなものは俺の勝手だ。
3分、いや、5分は過ぎたか。テイタニアはキリコが不在であると判断したのか、玄関の前から
去っていった。