日曜、祝日の駅前近辺は、マーティアルが奉仕活動と称して掃除を行っている。
だが、この奉仕活動が通常と異なるのはテイタニアという名の女が駅前近辺を巡回して、
住居の汚れを見つけ次第掃除を行うという点だ。
聞くところによると、一方的に住居に入るものの掃除のスピードが異常に早く、しかも
無料なのでやたら評判がいいらしい。
だが、評判がいいとはいえ一方的に住居に入られるのは気分のいいものではない。
ましてや、この部屋はこの世のありとあらゆるゴミをコンクリートミキサーにかけてぶちまけた様な
部屋だ。他人が来る場所ではない。
そう考えつつキリコは部屋の窓を拭いていたが、遠くから聞こえる箒の音に手を止めた。
箒の音はゆっくり、しかし確実に近づいて来る。予感めいたものを感じたキリコは窓を閉め、
自らの気配を殺しつつ玄関へと向かった。そしてドアスコープを覗いた瞬間、予感は確信へと変わった。
「あいつだ……。あの女だ!」
つづく