お掃除小人が来て、片付けてくれないかなあ〜と、
ゴミ部屋でうとうと眠っていたら、
カサカサ音がするので眼が覚めた。
童話に出てくるような薄い虹色の羽根の美少女妖精が12人いて、
一生懸命ゴミを運んでくれていた。
身長12センチくらいの華奢な可愛い子が、
腐ったコンビニ弁当や、中身飲みさして腐れドブになった缶、
脱ぎ散らかした服を重そうに一生懸命移動させてくれていた。
ちびっこい奴らが必死に巨大なガラクタにたちむかっている光景で、
申し訳なくなってきた。

そこで、ちびたちを驚かさないように、踏まないように、静かに起き上がって、
部屋の片づけを始めた。
美少女妖精たちは、蝶が舞うように、トンボが飛ぶように、宙にホバリングして、
自分がゴミ袋にゴミを入れるたびに、
「☆☆☆!」
「☆☆!
「☆☆☆☆!!」
と、鈴の音のような不思議な声で讃嘆の声を上げてくる。
その響は、(わー、すごい!)(巨人様、カッコイイ!)(さすがだわ!)
と、明らかに尊敬の響きがあって……。
自分は、「よせよ、ここは元々、俺が汚したんだし」等と答えつつ、作業を進める。
オベヤで腐海だった部屋が、綺麗になるまで、この妖精たちはずっと部屋にいて、
自分を励まし続けてくれた。

そして、元通りに綺麗になった日、
12人の美少女妖精は安心したように静かに消えて行ってしまう。

久しぶりに町へ出た自分は、図書館へ童話の本を探しに行く。
彼女らの様な妖精の絵が載った絵本でも見つけられないかと。
あ、これかも、と背表紙に手を伸ばすと、偶然誰かの手もその本に触れて……。
その手の持ち主は、若い女性で、どこかあの妖精たちに似ていたりする。

なーんちゃってな。