太田次郎『文科の発想・理科の発想』に書いてある整理についての記述が面白い
昭和56年の本なんだが、最近出回ってる掃除関係の本の記述とほとんど変わらん
現在の本がいかに過去の本の焼き直しなのかが分かる
整理することについての悩みは変わらないということか
以下で少々紹介する



「そもそも、整理するのは、後で再利用するためである。
したがって再利用する可能性が少ないものは、整理の対象よりも、むしろ消滅させた方が良い。」

「整理というのは効率の問題であって、整理のために使う時間と、
資料を引き出すための時間のトータルが短ければ良いはずである。」

「多くの人は無精で整理嫌いであり、心の中に整理コンプレックスをひそめている。
それで、新しい整理法の本が出るととびついて、何かを身につけようとする。」

「整理を始めようとするとき、画期的なことはやらない方が無難である。
『まあできるところから、ぼちぼちやっていこう』という心がけが長続きの秘けつのように思われる。」

「分類にこらぬことも大切であろう。
『停電になっても、書棚の本の並び方がわかっているから安心だ』などというのは、
自己顕示欲の強い人のいうことであって、庶民には必要のないことである。」

「本の中にも、何度か読み直す必要のあるものもあれば、推理小説のようにまず読み返すことのないものもある。
後者の本は山積みにするか、集書癖のない淡白の人は書棚から整理してしまった方が、経済的である。
それを、きちんと整理して並べておくのは、その人の趣味に過ぎないであろう。」

「無精な人は変なコンプレックスをもって、急に思い立って整理などに精を出さないで、
『自分は自分のやり方がある』と開き直った方が安全と思われる。
そして、初めに述べたように、資料があまりたまらないように、できるだけ捨てることである。」