ミヒャエル・エンデ作『モモ』より
道路掃除夫ベッポ「とっても長い道路を受け持つことがよくあるんだ。
おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。
時々目をあげて見るんだが、いつ見ても残りの道路はちっとも減ってない。
だからもっと凄い勢いで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまい
には息が切れて、動けなくなってしまう。こういうやり方はいかんのだ。」
「いちどに道路全部の事を考えてはいかん。次の一歩の事だけ、次の
ひと呼吸の事だけ、次のひと掃きの事だけを考えるんだ。いつもただ次の事
だけをな。すると楽しくなってくる。楽しければ、仕事がうまくはかどる。
ひょっと気づいた時には、一歩一歩進んで来た道路が全部終わっとる。」