ところで、「こっそり撮影するのはいけない」という表現は、それ自体、正確ではない。
要は、「こっそり」だろうが、「堂々と」だろうが、「相手の承諾なしに撮影するのがいけない」と言いたいのだろう。
そして、その理由としているのが、「撮影されるのが嫌な人もいるだろうに、その人の意思に反して撮影するのはいけない」という思い込みである。

相手の意に反して、あるいは、相手の許可なしに、撮影してはいけない? なら、「監視カメラもいけない」ことになる。「監視カメラ」は別? なぜ? 「犯罪抑止」や「犯人特定」という正当な事由があるから?

「法律の専門家」でも間違いやすいのが、この「正当な事由がなければ○○してはいけない」という通説である。
現行憲法では、「国民の○○する権利は、公共の福祉に反しない限り、最大限に保障されている」のだから、
「不当な事由でなければ(=公共の福祉に反しなければ)、○○していい」というのが真実である。「原則は自由、例外的に禁止」というのが、正しい法的解釈である。